相続登記を自分でする②(相続人を確定させる)

相続登記をご自分でするための方に、実務のノウハウを記事にしました。免責事項についてはコチラ

相続人を確定させる

相続人の確定とは、法務局に対し、相続人が誰であるかを、被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍謄本(公文書)を取得して証明することを指します。被相続人の戸籍謄本のすべてを取得できれば、その戸籍中にたとえば第一順位の子が何人いているのかや、配偶者が居るのかの確認ができ、遺産分割協議に参加するメンバー(相続人)が確定します。それでは、相続に必要な戸籍の取得の方法を見ていきましょう。

被相続人の住民票の除票の取得

相続人を確定させるために被相続人の戸籍謄本を、出生から死亡までの全てを取得するのですが、近ごろは免許証に本籍地欄が記載されなくなったので、亡くなった方の本籍地がわからない場合がよくあります。

その時は、まず、被相続人の住民票の除票(本籍地と続柄含めて)を取得します。それで、亡くなったときの最終の本籍地が確認できることになります。見本は私の引越し前の住民票の除票になります。死亡時に住民票の除票を取得すると削除事項欄には年月日死亡と記載されます。

住民票の除票

本籍地・続柄を省略せず取得する。住所欄と最後の住所欄を確認して、次の全部事項証明書の所有者の住所と沿革がつくか確認すること。

前住所欄について

また、ここで重要なのは住民票の除票に記載されている前住所欄です。この前住所欄または死亡時の最後住所と不動産全部事項証明書(登記簿謄本)の甲区に記録されている被相続人の住所とを、繋げる必要があり(これを住所の沿革をつけると言いますが)、住所の沿革をつけないと、不動産登記事項証明書に記録されている所有者が、今回亡くなった被相続人と同一人物であることを直接証明することができないからです。

土地の全部事項証明書

見本の中央部分:権利部(甲区)2番の所有者(法務五郎)の住所と、先に掲載した住民票の除票に記載されている最後の住所または前住所欄の住所と沿革をつける

法務局が亡くなったことを確認しているのは、あくまで死亡の記録のある戸籍謄本ですが、この戸籍謄本には住所の記載はなく、また、不動産全部事項証明書に本籍地が記録されている人はかなり稀で、基本的には住所地が記録されています。よって、この住民票の除票を取得して、住所の沿革を付け、本籍地の記載が合致することで、不動産全部事項証明書の所有者が亡くなったことが証明できます。(上記、見本は堺市堺区の住所移転が確認できるように前住所欄だけではなく、備考欄に移転の経緯が分かる様に取得しました。)

住民票の除票で住所の沿革がつかない場合

住民票の除票の前住所欄と最後の住所欄で、不動産全部事項証明書の住所と沿革がつかない場合があります。その場合は、戸籍の附票を本籍地で取得することになるのですが、こちらは本籍地で取得できるもので、その本籍地に籍を置いているあいだに住所変更した経緯が全て記載されるものになります。

ただし、平成に戸籍謄本が改製しており、原附票は改製後、原則5年で廃棄処分になりますので、昔に不動産を取得をして、そのまま相続登記まで何もしていない方は住所の沿革がつかない場合いもあります。取得の際は「この不動産全部事項証明書の甲区の所有者の住所とつながりのつく戸籍の附票および原附票の取得をお願いします」と伝えてください。

戸籍の附票・原附票でも住所の沿革がつかない場合

よくあります。住民票の除票や戸籍の附票で住所の沿革がつかない場合、または、住民票の保存期限が死亡してから5年であるので既に廃棄処分されてしまい、5年を経過したのちに相続登記を申請する場合は、住所の沿革がつかないことがあります。このような場合に初めて、被相続人が不動産を取得した際に発行される権利証を利用することになります。法務局としては住所の沿革がつかないので、被相続人が不動産全部事項証明書の所有者と同一人物と直接判断することができないため、相続登記を申請を完了させるわけにはいかないのですが、該当する不動産の権利証を持っていることが所有者の証となるので、上申書と併せて申請書に添付することで登記が行われます。

被相続人の戸籍謄本の取得

住民票の除票で確認した戸籍のある市役所へ行き、申請書を書いてから「出生から死亡までの戸籍謄本を下さい」と、市役所の窓口に伝えてください。戸籍の取得の際は、申請用紙に取得理由と提出先、誰の戸籍をいつからいつまで必要なのかを記載する欄がありますので、「相続登記の申請」「堺の法務局に提出」「出生から死亡までの戸籍」と記載するので特に言わなくても良いですが、せっかく窓口申請するのですから、必ずこちらの意思を明確に伝えてください。

必要な戸籍が出ない場合は、一から並びなおしになり、時間を要する作業になりますので、申請の際は慎重に記入したうえ、口頭で説明するようにしたほうが賢明です。なお、堺市役所の戸籍係は月曜を除く夕方が来庁者が少なく戸籍の取得がスムーズに行えます。

戸籍の変遷

戸籍の変遷については別記事でもかいているのですが、明治、大正、昭和、平成と日本の戸籍謄本は改製といって、その様式が大きく変更になり戸籍の見方がそれぞれによって異なります。詳しい戸籍の読み方については、難しいので割愛しますが、要は、戸籍の改製がされると除籍になった方については新しい様式の戸籍には反映されないということだけを押さえてください。

たとえば、被相続人の第一順位の相続人である「子」ですが、結婚したことにより「婚姻により○○の地に新戸籍編成につき除籍」になったのちに、被相続人の戸籍が改製がされると、その新戸籍には除籍になった子が記載されない仕組みになっています。

結論としては、読み方を勉強するより市役所で被相続人の戸籍を取得する場合は「出生から死亡までの戸籍謄本を下さい」というと必要な戸籍謄本が全て出てきます。また、一般の方が戸籍を取得している場合、他の市役所に追加で戸籍謄本を取得する必要があれば、○○の本籍地の市役所で続きの戸籍を取得してくださいと指示をしていただけますので、ご安心ください。

現在戸籍

現在戸籍の見本。赤枠で囲っている部分が戸籍の編製事由になります。

原戸籍

原戸籍の見本になります。赤枠で囲っている部分が戸籍の編製事由になります。ここからさらに遡って取得する必要があれば、大正戸籍と明治戸籍を取得することになります。

戸籍取得は謄本か抄本か

市役所で戸籍をとる場合、窓口でしたら戸籍の謄本が必要ですか?それとも抄本ですか?と聞かれます。戸籍謄本は、その戸籍の全部を記録したもので、戸籍抄本は戸籍の一部を記録したものになるのですが、相続登記に必要な戸籍は戸籍謄本になりますので、取得の際は注意が必要です。理由は、戸籍の一部事項である抄本を取得しても、相続人全員かどうかが戸籍から判断することが出来ず、相続人を確定する目的を達することができないからです。ちなみに、相続人についての現在戸籍に関しては、抄本でも可能ですが、戸籍謄本と戸籍抄本で費用に変わりがありませんので、取得する戸籍はすべて謄本で取得してください。

戸籍等の取得費用

戸籍などの取得費用は以下の通り。

  • 現在戸籍謄本 450円
  • 原戸籍・除籍 750円
  • 戸籍の附票  200円~
  • 住民票(除票)200円~
  • 名寄帳    無料の場合が多い。
  • 印鑑証明書  200円~

戸籍の郵送請求

戸籍謄本を、全部窓口へ行き取得できる場合は良いのですが、遠方であるとか時間が取れない場合は、郵送で戸籍謄本を取得することになります。まず、郵送先の市役所の戸籍係へ電話をし、そちらの市役所で戸籍の郵送請求をする旨つたえ、保有している本籍地の情報が郵送先の市役所で取得できるのかを確認します(市町村合併などがある場合、市役所の判断がつかないため)。あとは、郵送取得に必要な書類の確認をしてください。一般的に郵送取得に必要な書類は以下のものになります。

  • 戸籍の郵送申請書
  • 定額小為替
  • 本人確認書類の写し
  • 返信用封筒(レターパックライト)

私が業務で戸籍を取得する場合は、レターパックライト(370円)を利用します。普通郵便より高いですが、追跡機能がついている分安心できますし、また、返信される封筒にどれくらいの量の戸籍謄本が帰ってくるのかが不明のため、追加料金の郵便切手をつけなくても、レターパックライトを添付しておけば、追加の郵便切手代金を考えなくてすみます。

なお、戸籍は郵送で取得できますが、出来限り窓口で取得したほうが効率がよいと考えています。取得した戸籍を確認したうえ、その市役所で取得できる戸籍が追加であるなら、その場で対応できることができるので2度手間がありません。たとえば、被相続人の戸籍を取得したのちに、同じ市役所で相続人の戸籍を取得する場合など。

全ての戸籍を集めた後(相続人確定)

被相続人の出生から死亡までの戸籍が収集できましたら相続人について確認してください。まず各戸籍謄本に記録されている子と現在の配偶者を確認します。基本的に婚姻後の戸籍を確認することになるのですが、法務局ではおおむね12歳くらいから生殖能力があるということで、婚姻前の戸籍も必ず確認してみてください。確認後は、すべての相続人に戸籍謄本と印鑑証明書を取得するように促して下さい。(印鑑証明書は印鑑登録カードやマイナンバーカードがない限り他人が取得できません。)また、不動産を相続される方については住民票を取得してください。

気を付けたいポイント

たとえば「婚姻前の戸籍謄本に子の記載があるか」「養子縁組がされていないか」「前妻との間に子がいないか」など。第一順位の相続人は子になりますので、まずは子を確定します。子には養子縁組によって法律的に子となる場合も含みますので注意したいところです。

子がいない場合の相続人

全ての戸籍を見ても子がいない場合には、直系尊属といって、被相続人の父母(祖父母)が相続人となり直系尊属のすべて亡くなっている場合は、被相続人の兄弟姉妹が相続人になりますので、被相続人の父母欄を確認しながら「全血兄弟」「半血兄弟」を見ていきます。ちなみに、配偶者は生存する限り必ず相続人になりますので、死亡戸籍を確認するとすぐに判断がつきます。相続の順位については別記事に簡単にまとめていますので参考にしてみてください。

コンビニ発行の証明書について

現在、マイナンバーカードを登録している方について、コンビニで各種証明書の発行が可能になりました。各相続人様に取得いただく証明書(戸籍謄本、印鑑証明書、住民票)についてはコンビニ発行でを取得するのが便利になります。相続登記申請にも問題なく使えますので、日中お仕事で役所に行けない方についてはご利用してみてください。

取得した戸籍謄本など有効期限について

これまで、市役所で戸籍謄本の取得を中心にお話してきましたが、相続登記に関しては、被相続人の亡くなった後に取得したものであれば印鑑証明書も含めて有効期限はありません。ただし、相続手続きについては多岐にわたりますので、たとえば、銀行口座の解約手続きに多いのですが、印鑑証明書の有効期限は6カ月ということはよくある話です。優先順位を決めて計画的に相続手続きを進めないと、手続途中で有効期限が切れる事態が発生しますので、注意が必要です。

相続登記申請では戸籍等の原本は返却される

相続登記申請については、後で説明する相続関係説明図を添付する必要がありますが、この書類を添付することにより、苦労して集めた戸籍謄本はすべて原本還付される仕組みになっています。その他の書類についても、原本還付の仕組みが異なりますが、具体的には、印鑑証明書、住民票の除票、遺産分割協議書、名寄帳、不動産を取得する相続人の住民票、の全てについてコピーを用意し、コピーの余白かまたは別紙に「原本還付」「この写しは原本と相違ない」「申請人の氏名」「氏名の横に申請印で押印」したものを、一番上にして合綴し、コピーした全ページにわたって割印をすれば原本還付はできます。

原本還付

原本還付用の別紙。上記の文言を直接コピーに記入しても結構です。

ただし、法務局では窓口での即日原本還付のルールがなく、一度、原本を預けたうえ、登記完了後に新しい権利書と併せて、原本が返却される仕組みになっているので、急ぎで原本が必要になる場合は注意が必要です。現在、新型コロナウィルスの影響もあり登記完了日が2週間ほど必要になっています。また、3月と9月は一年を通して登記申請が増加しますので、登記完了予定日がさらに伸びます。

相続登記を自分でする③(遺産分割協議書の作成)へ続く

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